フリーランスって実際どうなの?

フリーランスとして独立すること、働くこと、生きることについて。

フリーランスは「卵は同じ籠に盛るな」を心すべし

ご存知の方も多いかもしれませんが、「卵は同じ籠に盛るな」という言葉があります。卵をひとつの籠に入れていると、その籠を落としたりしたら卵が全部割れてしまう。だから、大切な卵を分散させておきなさいという教えで、ビジネスの世界では「ひとつのクライアントに依存する下請けになってはいけない」という意味で使われます。

この言葉は、フリーランスならいつも心に留めておくべきものです。ひとつのクライアント先に頼ったほうが、慣れ親しんだ担当者とばかり仕事ができるので楽かもしれません。ただ、そのクライアントからの仕事を失った途端、たちまち無職状態になってしまいます。どんなに安定的な仕事でも、ちょっとしたことがきっかけでなくなるので、ひとつのクライアントに依存している状態は非常に危険です。

理想は「20分散」と言われるがフリーランスには厳しい

ビジネスの世界では、クライアントは20分散させるべきと言われます。20社以上のクライアントを持ち、総売上に占める1社あたりの割合を5%以内に留めるのです。

しかし、フリーランスの場合は、20社から均等に売上を上げるのは非現実的です。私の場合も、そんなに多くのクライアントと同時にお付き合いしていた時期はありません。

ただ、ひとつのクライアントが売上に占める割合を大きくしすぎないようにし、できるだけ多くのクライアントと付き合うというのは、いつも心がけています。大きな売上を定期的に確保できるクライアントを抱えているときには、小さな売上しかあがらないクライアントから単発の仕事の打診があっても、面倒に感じてしまうこともあります。でも、大口のクライアントを失ったときのことも考えて、小さな仕事を依頼してくれるクライアントも地道に開拓しておくべきです。

1社からの売上が3割を越えたら危険。5割以上なら急いで状況を改善すべき

私の経験上、フリーランスであっても1社からの売上は全体の3割以内に留めておくべきです。それ以上になると、そのクライアントを失ったときのダメージが大きすぎますし、なによりそこから切られるのが怖くて、値下げ交渉などにも応じざるを得ない「下請け体質」になってしまいます。

また、独立した当初や、定期仕事が立て続けになくなった時期(そういう時期も必ずあります)は、1社からの売上が5割を超えてしまってもしょうがないと思います。ただ、ひとつの会社からの仕事がなくなったら収入が半減するというのは、非常に危険な状態です。急いで新規のクライアント獲得に動くなど、売上の構成比を健全な状態に戻しましょう。

ひとりの担当者からの仕事ばかりというのは最悪

クライアントの担当者があなたのことを気に入ってくれると、あれもやらない? これもやらない? といろんな仕事を振ってくれるようになるでしょう。担当者も気の合う人になんでもお願いしたほうが楽ですから、そういう状況は結構あるものです。

しかし、そうやってひとりの担当者からの仕事ばかり受けて、他の仕事をする余裕がなくなるのは一番危険な状態です。ひとつの企業からの仕事ばかりしていても危険なのに、ひとりの担当者の仕事が大半を占めるというのはこの上なくリスキーです。

その担当者が他部署に移動になり、新任の担当者になった途端、違う外注先を使うようになるかもしれません。自分のことを気に入ってくれていた担当者が、もっとお気に入りの他のフリーランスを見つけることだってあります。

ときには目先の売上を逃すことも必要

ひとりの担当者、もしくはひとつの企業からの仕事が増えすぎているという状態のときには、そこからの新規の仕事を断り、他の仕事を獲得できるように動くことも大切だと思います。

フリーランスは仕事を断ったら終わり。仕事の依頼が来なくなる」みたいなことを言う人がいますが、そんなことはありません。「今、ちょっと別の仕事が立て込んでいて、申し訳ないのですがお引き受けできないんです」と丁寧にお断りすれば大丈夫です。角が立つことはありません。


フリーランスとして長くやっていきたいのであれば、、長期的な視点で戦略的に動く必要があります。1社からたくさんの仕事が来て「今年は儲かった!」と喜んでいてはいけないのです。長く安定的に収入を得ていくために、「卵は同じ籠に盛らない」という言葉をいつも意識しましょう。