フリーランスって実際どうなの?

フリーランスとして独立すること、働くこと、生きることについて。

フリーランスはどうやって仕事を獲得するか?

独立するにあたっての大きな不安は、「どうやって仕事を獲得するか?」「本当に自分に仕事の依頼が来るのか?」ということだと思います。仕事がなければ食べていけないのですから当然です。

私の場合、独立するときは、どこからも仕事をもらえるアテはありませんでした。会社員時代にお付き合いのあったクライアントや代理店から仕事をもらうこともしませんでしたので、今やっている仕事は全て独立後に獲得したものです。

私の場合はただ待っていた

独立後、積極的に営業をかけませんでした。仲の良い人たちに「フリーランスになった」というだけを伝え、あとはただ仕事が来るのを待っていました。

なので、独立後の1〜2ヶ月は本当にヒマでした。毎日図書館に行き、のんびり本を読んでいました。今思えば、とても幸せな時間を過ごしていたと思います。

そうこうするうちに、徐々に仕事を依頼してくれる人が現れました。といっても、ほんの数人です。その方々とは今でも仕事をしていますが、その人たちから「たくさん仕事をもらえるようになった」というよりも、「その人たちと一緒に仕事を獲得していった」と言うほうが正しいと思います。

営業職の人は、自分と一緒に仕事を拡大していけるパートナー的なクリエーターを求めています。そういう風に一緒に組めるクリエーターって意外といないものなのです。能力がそれなりに合って、友人のように付き合えるほど気が合う。そういうクリエーターとでないと、長く一緒にやっていくことは難しいからです。

私の場合は仲の良い営業の人と一緒に、クライアントに企画を積極的に出したり、依頼された仕事のクオリティを全力で高めることで信用を得て、徐々に仕事の数や規模を大きくしてきました。そういうやり方が、私の営業方法だと言えます。

狩猟型ではなく、農耕型で

新しい取引先をガンガン獲得しているのに、意外に仕事が少なかったり、収入が低い人がいます。

取引先を獲得する力はあるのに、ひとつの得意先と長く続かないのです。つまり、お客さんがリピーターにならないのです。能力が低いからそうなってしまっている人もいますが、実は仕事が丁寧じゃないというだけ人のほうが多数だと思います。そういう人は仕事を獲得することには一生懸命なのですが、獲得した仕事は「できるだけ手間をかけずに終わらせたい」という意識なのです。せっかく依頼された仕事なのに、適当にやってしまうのです。

私は新しい仕事を獲得する能力はそれほど高くありませんが、依頼された仕事のクオリティは全力で高めます。だから、一度仕事をした人とは長く続き、今では安定的に仕事を依頼される関係性を何人もの人と築けているのです。

仕事ください営業はおすすめできない

独立したばっかりの人は、ついつい会う人に会う人に「なんか仕事あったらください!」とか言ってしまいがちですが、それは本当にやめたほうがいいと思います。

「仕事ください」と言っていいのは、仕事が忙しいことを周知されている人だけです。そういう人は「忙しそうだから」とか「ギャラが高そうだから」ということで依頼する側が躊躇しがちになるので、「仕事ください」と言って敷居を低くし、気軽に依頼してもらうためにあえて言っているのです。

ペーペーのフリーランスが「仕事ください」ばっかり言っていると、「こいつは仕事がないのか……仕事できなそうだな」と思われたり、足元を見られてギャラを叩かれたりします。いずれにせよ、良い関係が築けないのです。

江戸時代の言葉に、「武士は食わねど高楊枝」というものがありますが、独立したばっかりで仕事がなかろうと、決して「仕事ください」と言うべきではありません。

ただ待っているだけでは不安だというのであれば、「仕事ください」とは言わずにいろんな人に会いまくるのがいいのかなと思います。ランチを食べに行ったり、酒を飲みに行ったり、どうせ暇なのですからしばらく会ってない人にもどんどん会いにいくのです。それで、「独立してフリーランスでやっている」と言えば、仕事を振ってくれる人が現れるはずです。

家にずっと閉じこもっているような生活にはならないようにしましょう。私の場合は図書館通いをしていましたが、散歩するでも新しい趣味を始めてみるでも、なんでもいいのですが、積極的に外に出るようにして、生活にハリを失わないようにしておくべきです。

義理を欠くようなことは絶対やってはいけない

勤めていた会社から仕事を持って独立するのはNGです。どんなにクライアントの担当者と仲が良く、信頼されていたとしても、会社員時代の仕事は会社に置いていかなくてはいけません。

仕事を持って独立するとどうなるか? 仕事があるので独立当初から収入は安定するかもしれませんが、その経緯を見ていた人や、悪い噂を聞いた人からの信用を失ってしまいます。信用を失えば、仕事の依頼は来ないものです。フリーランスでやっていく以上、信用はなによりも大切にしなくてはいけません。

フリーランスは、義理堅くあるべきです。自分に仕事を振ってくれた人をないがしろにしたり、逆に自分が仕事を依頼した人を大切にしなかったりしたら、信用を失います。信用を失えば、フリーランスとして長く生き抜いていくことは難しいでしょう。