フリーランスって実際どうなの?

フリーランスとして独立すること、働くこと、生きることについて。

フリーランスで働く意外なメリットとは?

例えば「満員電車に乗らなくていい」など、フリーランスとして働くことの一般的なメリットはさまざまなメディアでも公開されていますし、ある程度は想像できると思います。そこで今回は、私がフリーランスになってから分かったちょっと意外なメリットを紹介します。

《その1》朝早く起きるようになり、生活が規則正しくなる

フリーランスになると会社から出社時間を強制されないので、朝は何時に起きようが自由です。打ち合わせなどがなければ、学生のように昼まで寝ていられるし、深酒した翌朝は寝坊しても大丈夫です。

しかし、朝ちゃんと起きない人はフリーランスとして生き残れません。

フリーランスになると、周りのフリーランスで「仕事が途切れない人」と「仕事がない人」「ダメになっていく人」の違いを観察するようになります。そして、ひとつのことが分かりました。

フリーランスとして成功している人は朝早くから働いているのです。一方で、ダメになっていく人は不規則な生活をしています。午前中に電話しても寝ていたり、日中に連絡の取れないことが多かったりします。会社だと同じ部署の同僚がフォローしてくれるかもしれませんが、フリーランスでは誰も助けてくれません。そういう人は徐々に信頼を失いますし、体調が整わなければ仕事のパフォーマンスも落ちます。

ただ、ダメになっていく人も、夜飲みに行ったり遊んだりしている人ばかりではありません。納期に追われて深夜まで仕事をし、翌朝は遅く起きる。そうしたことを繰り返しているうちに、生活が不規則になってしまうのです。

なので私は、朝方まで仕事をしていようと、深夜まで飲んでいようと、翌朝はちゃんと起きます。普段は6時に起きて6時30分くらいから仕事を始め、打ち合わせもなく、電話もかかってこない時間に仕事を進め、納期ギリギリにならないように自分のスケジュールを組みます。飲みに行きたい日は夜10時には仕事を終わらせて近所のバーなどに行き、日付が変わったころには帰るようにしています。そうやって、睡眠時間が極端に少なくなるのを防いでいます。

私は会社勤めのころよりも、フリーランスになってからのほうが規則正しい生活になりました。会社員時代はいつも終電やタクシー帰宅になるまで仕事をして、朝は10時30分くらいに会社に行くような生活でした。それに比べたら、今のほうが健康的だし、仕事のパフォーマンスもあがりました。

フリーランスになって生き残るためには、朝はしっかり起きる生活をせざるをえなくなります。「フリーランスになったら自分は生活リズムがめちゃくちゃになるかも」と不安な人はある意味安心してください。ただ、どうしても自分を律せられない人は、フリーランスとして続けていくのは難しいと思います。

《その2》仕事が楽しくなる/能力が上がる

フリーランスになると、気の合わない人からは仕事の依頼が来ないので仕事が楽しくなります。よっぽど自分のキャラを偽っていたらそんなこともないのかもしれませんが、それはストレスを溜めることになるのでやめたほうがいいです。別に、社交的な性格や押しの強いキャラでなくても、仕事さえちゃんとやれば依頼は来るので大丈夫です。

また、ネガティブチェックをする上司もいません。自分に依頼が来た仕事は、自分の責任でクオリティを担保しなくてはなりませんが、変にモチベーションが下がりません。変な上司がいるときの「どうせまたあいつがなんか言ってくるんだろうな」という心境とは全然異なり、常に「いい仕事をしよう」という意気込みを持てます。

否が応でも説明能力も上がります。自分の仕事を取引先やクライアントに説明するのは自分しかいません。プレゼンの機会が増えます。説明の上手い下手は場数が大きく影響しますので、フリーランスになることで説明は上手くなります。会社員のころはフリーランスでやっている人のことを「プレゼンが上手いなー」と思って見ていたのですが、フリーランスという状況に身を置いていると、ほとんどの人が説明上手になっていきます。

フリーランスになると仕事を教えてくれる人がいないから、成長したいなら会社員のほうが良いという意見を聞いたことがあります。確かに、上司や先輩に教わらないと身につかない技術的なものはあります。しかし、ある程度基礎的なものを身に付けた後は、プロとして自立し、シビアな仕事を数多く経験したほうが力は伸びると思います。会社でいつまでも上司や先輩のアシスタント的な立場で仕事をしているよりも、早めに独立して自分の力だけでさまざまな壁を乗り越えていく経験をしたほうが、より早く成長できるはずです。フリーランスは手を抜いて仕事をしていたら、すぐに干されてしまいます。常に真剣勝負で自分を磨き続けるしかないからこそ、成長できるのです。

《その3》視野が広がる

会社員のころは、社内のメンバーとチームを組むことが多いかと思います。私もそうでした。社内のデザイナーとばかり仕事をするので、チームワークが磨かれるという面もありましたが、マンネリもしますし、視野が広がりにくいという欠点があります。

フリーランスになると、同じフリーランスの人と組んで仕事をすることが増えます。すると、本当に色々な視点を持った人、そして、様々なチャレンジをしている人に出会うことになります。

チャレンジというのは主に、自主企画の事業についてです。自分でWebサイトを運営して収益化を目指している人、海外からグッズを輸入して物販事業をやっている人。クラアントから受注した仕事をやりながら、時間をつくって「自分の事業」をやっているのです。

ホリエモンが率いていたライブドアは元々はホームページの制作会社でしたが、受託仕事をやりながらが、ポータルサイトやブログといった自社サービスを開発することで下請けから脱却しました。サイバーエージェントもWEB広告会社でありながら、アメブロなどの自社サービスを開発しています。

規模感こそ全然違いますが、私たちフリーランスも、受託仕事だけをやっていたら、いつまで経っても収入が不安定なままです。自分の事業を立ち上げ、それを大きくしていくことでしか経済的な安定は図れないのです。

でも、会社員をしている専門職の人だって本来は同じだと思います。自分で収益源を確保していなかったら、会社を辞めざるをえない状況になったら途端に無収入になってしまいます。

フリーランスの人は会社員よりも危機感を強く持っているので、自分の事業に挑戦する人が多いのです。「自分の事業」をつくろうとチャレンジをしている人たちと多く出会うことは、いろいろな気付きを得ることができ、視野が広がります。ビジネス(商売)の肝もだんだんと分かってきます。

《その4》副業(自分の事業)を始めやすい

そしてフリーランスは、本業以外の事業を始めやすい環境にあります。

会社員のように日中ずっと拘束されているわけではないので、もうひとつの事業のほうにも臨機応変に時間を使えます。本業でしっかり稼いでいるなら、自分の事業に投資したお金を経費にできるので節税になります。

現に私も本業の他に飲食店を持っています。開業当初のお客の少ない時期はスタッフを十分に雇うほど売上がなかったので、毎日数時間は自分もお店に出ていました。本業の仕事をやりながらなので時間のやりくりが大変でしたが、自分の店を開業するのは本当に楽しいので特に苦にはなりませんでした。

今ではお店も安定的に収益をあげられるようになってきました。フリーランスの仕事は収入の波があるものですが、飲食店というのは毎月だいたい同じくらいの収益をあげるものです。こうして安定した収入があると、精神的に安心できます。

私は本業の仕事を辞めたいとは全く思っていませんが、自分のお店やサービスをこれからもつくっていき、それだけで余裕のある生活ができるくらいにはしていきたいと思っています。


これらが私の感じるフリーランスとして働くことのメリットです。かなり大きなメリットなので、私はフリーランスになることをおすすめしています。