フリーランスって実際どうなの?

フリーランスとして独立すること、働くこと、生きることについて。

個人のお店や小さな企業ばかりがクライアントだとつらい?

フリーランスとしてやっていくためには、どのようなクライアントを持つかということが重要です。広告業なら大企業をクライアントに持たないと収入が安定せず、精神的にも疲弊します。

デザイナーなどに多いのですが、個人の飲食店やサロン、零細企業がクライアントのほとんどという人もいます。あとはミュージシャンのジャケットとか多くやっている人もいます。こういう人は、フリーランスでやっていても結構きついはずです。

個人や小さな企業は、手間がかかるわりにギャラが安い

大企業の仕事よりも、個人や小さな企業のほうが手間はかからないと思っている人も多いのですが、それは大きな間違いです。

大企業の宣伝部や広報部というのは、部署内にノウハウが蓄積されています。例えば、ホームページや販促ツールを制作するのであれば、どのようなステップを踏んで制作していくのか、制作日数はどれくらい必要なのか、そしてどのようなポイントを抑えて制作すれば効果を最大化できるのか、そういったことを担当者がきちんと認識しています。

一方で、個人や小さな企業の広告制作を手掛けるときには、相手にはなんのノウハウもありませんし、突飛なオーダーをしてくることもあります。相手に広告制作のノウハウも伝えなくてはなりませんし、間違ったオーダーには「それは違う」ときちんと説明し、正しい方向性で制作できるようにしなければなりません。これが、結構大変なのです。

それでいて、しょうがないことなのですが、個人や小さな企業の広告制作費はたいがい安いものです。例えば、独立して飲食店を開業する人が、ホームページをつくるのに何十万も予算をかけられるはずがありません。私も飲食店を経営しているのでわかりますが、開業時は本当にさまざまな出費があり、しかも忙しい。安い制作費で、しかも自分は手間をかけず、デザイナーに「おまかせ」で良い感じにつくってもらいたいという気持ちになってしまうのです。これは、デザイナーにとっては、かなりやっかいですよね。クライアントはできるだけさぼろうとし、予算もなく、広告制作の知識も全くない。それでいて、「最高のものができあがってくる」と期待している。そんな超つらい状況に陥るものです。

個人や小さな企業の仕事は+αでやるもの

だから、広告業界フリーランスとしてやっていくには、大きな企業の仕事をメインにするべきなのです。

ただ、個人のお店や小さな会社などの仕事も、クリエイターとしてやりがいの大きい仕事も多いので、これらの仕事もぜひやるべきだと思います。大企業の仕事を8割、個人や小さな企業の仕事を2割くらいの割合でやっていくのがいいのではないでしょうか。

私が知り合いの飲食店などの請け負うとしたら、ギャラを釣り上げようともしませんし、逆にタダでもやってあげたりもしません。例えば、「5万円でホームページつくってよ」と言われたら、それを受け入れて全力でつくります。ギャラを10万円に上げようとも思いませんし、「タダでいいよ」とも言いません。

個人の飲食店から無理にお金をもらおうとは思いません。しかし、プロである以上、タダでやるべきではありません。また、タダでやると「タダでやってやるんだから、クオリティが低くてもいいや」という気持ちになってしまいがちです。お金をいただくことで仕事に緊張感が生まれ、自分の成長にもつながっていきます。

大企業の仕事をするために必要なこと

では、大企業の仕事をメインにやっていくために必要なことはなにか? それはビジネス上のマナーをわかっていて、清潔感を持っていることです。

もちろん、仕事の能力が高いことは前提です。ただ、能力が高くても、服装に清潔感がなかったり、ビジネスのマナーを知らないような人は大きな企業の仕事は依頼されにくいもの。極端な話、仕事の能力は高くても、長髪でヨレヨレの服を来ている人よりも、能力はそこそこでもマナーや身なりがちゃんとしている人のほうが仕事を獲得しやすいでしょう。

担当者とは仲間になろう

大企業の場合、担当者からOKが出た企画などが、担当者に上の人からNGが出てイチからやり直しになることがあります。

こういうときに、担当者に対して「お前はOKって言っただろ!」と怒りを覚えてはいけません。企業文化のなかでは、自分がいくらいいと思っても、上の立場の人がNGと言ったらNGなのです。

私たちフリーのクリエイターは、担当者の仲間なのです。ブレーンと言ってもいいかもしれません。担当者がやりたいことを社内で通すために力を貸すのです。だから、担当者がOKと言ったのに、上からNGが出てやり直しになったとしても、担当者に怒るのではなく、担当者と一緒に残念がる関係であるべきです。

クライアント企業の担当者に対して、なぜか敵意を抱く人や、すごくへりくだって接する人がいますが、どちらも間違っています。担当者は共に仕事をする仲間です。協力してプロジェクトを成功させるためには、同じ視点を持って課題に立ち向かわなくてはいけないのです。このことを忘れないでください。