フリーランスって実際どうなの?

フリーランスとして独立すること、働くこと、生きることについて。

ギャラが安い、もしくは無報酬の仕事をフリーランスは引き受けるべきか?

フリーランスでやっていると、「次は大きい仕事頼むからさ、今回は安く(タダで)やってくれない?」と、新規のクライアントや代理店から声がかかることがあります。友人から「今度飲食店をオープンするから、Webサイトやチラシを“お友達価格で”つくってほしい」と頼まれるケースもあります。

フリーランスは自分の単価を維持していくことも大切ですし、安い仕事を受けすぎて疲弊してしまうような状態も避けなくてはいけません。では、格安の仕事やロハの仕事はすべて断ってしまったほうがいいのか? 私は必ずしもそうは思いません。

セコい人(会社)からの依頼は断っていい

安く人を使うことしか考えていない人は確かにいます。なんでもかんでも、経費は削減すればするほどいいと考えている人(会社)や、外注費を少しでも減らして、自分(自社)の収益を少しでも増やすことしか頭にないのです。

そういう人(会社)からの依頼は躊躇なくお断りしましょう。付き合っていてもロクなことはありません。仕事がなくて生活費にも困っている状況なら、“つなぎの仕事”として引き受けてもいいかもしれませんが、「後で良い仕事をもらえるかも」なんて変な期待はしないほうがいいです。

理不尽な話ですが、ギャラをケチる人の仕事ほど大変なことが多いものです。ケチな人(会社)は仕事の振り方も雑なことが多く、また面倒くさがって自分ではなにもやろうとしなかったりします。ケチ臭い人は人間性もダメなものです。

こういう人と仕事をしていると、フリーランスでいることが辛くなってきます。会社員とは違って、フリーランスは仕事や付き合う人を選べるのですから、遠慮せずにセコい人からはフェードアウトしましょう。

自分の成長につながるかが判断基準

ギャラの安い仕事を引き受けていいのは、その仕事で成長できるときだけです。数万円のギャラに目がくらんだり、断りづらいからという理由で引き受けてはいけません。

ただ、成長できるか判断するのは、あくまでも自分です。「この仕事で君も成長できるよ」と言って激安価格で人を使おうとするオジサンと稀に出会いますが、そういう変に上から目線の人の言うことは絶対に信じてはいけません。自分に都合の良いことを言ってるだけですから。

会社員のころの上司に対する感覚で、フリーランスになってからも年配のオジサンの言うことを聞いてしまう人がいます。

会社員でいる限り上司の言うことを素直に聞いておくのは処世術として必要です。しかし、フリーランスになったのなら、そんなイカサマ臭いオジサンの言うことを聞いてしまうのは素直過ぎます。そんな純粋な心のままでいたら、フリーランスで生き残っていくのは厳しいです。フリーランスになったら、「世の中には他人を都合よく利用しようとする変な奴がたくさんいる」と思っていたほうがいいです。

***新しい領域の仕事を切り拓くには、タダでやる姿勢も辞さない

例えば、あなたがなんらかの専門職で、いつも企画が決まった後から仕事が振られるだけだったとします。あなたはもっとプランニング的な仕事やディレクションを手がけたいと思っていたとします。

それなら、無報酬でもそういう仕事を手がけるべきです。「私も企画出します!」と言って、ギャラはもらわずに企画を出せばいいのです。それであなたのプランナーとしての力が認められれば、次からはギャラをもらってプランニングができます。

また、動画の編集も仕事にしたいと思っている。それなら、最初はタダでもなんでも動画編集を手がける機会をつくるべきです。そうやって仕事の幅を広げるのです。実績もない人に最初から良い仕事は来ませんから、ギャラが安くて誰も引き受けないような仕事で実績をつくってしまうのです。

友人・知人からの仕事には条件をつける

知り合いからの依頼は断りづらいものです。また、お店をオープンしたりイベントを開催したりする知人のためとなると、応援したい気持ちもあります。

でも、そういう知り合いはたいがいお金がないものです。個人で小さな飲食店を開業しているような人が、Webサイトやチラシに潤沢な予算をかけられるはずがありません。

応援してあげたい知人に「5万でホームページつくってくれない?」と頼まれたら、私だったら言い値の5万円でやってあげます。それで、その5万円はデザイナーにすべて支払ってしまいます。つまり、自分はタダでやるということ。

それが揉めないために一番いいと思っています。知人からしたら、その5万円でも捻出するのにものすごく大変だったかもしれません。しかし、私としては5万円で知人に言いなりに働きたくないありません。知人にも5万円はすべてデザイナーに支払うことを話し、私は知人のアドバイザー的なポジションでWebサイトの企画・設計やコピーを考えます。

また、無料でやってあげる分、私が「本当に効果がある」と思えるWebサイトをつくらせてもらいます。素人が発注者の場合、変なこだわりやズレたセンスで指示を出してくることがあります。こちらがいくら諭そうとしても、最終的にはお金を払う発注者の意向に沿わねばならず、大変悲惨なものができあがることがあります。あらかじめ「安くつくる代わりに、変なわがままは聞かないよ」と言っておくことで、そういった事態を防ぐことができます。


割に合わない価格での仕事の依頼はフリーランスになれば必ずあります。そのときに、どういう対応をするのか。あらかじめスタンスを決めておけば、「つい引き受けてしまった…」ということもなくなります。ぜひ、独立する際には自分のスタンスを考えておきましょう。