フリーランスって実際どうなの?

フリーランスとして独立すること、働くこと、生きることについて。

フリーランスのギャラ交渉はどうするか?

独立したてだと悩むことのひとつに、ギャラ交渉があります。見積もりを出す際に、何時間も悩んでしまうという経験をした方もいるのではないでしょうか。

本やインターネットでいろんな人のギャラ交渉術を見ても、「安いギャラでは絶対引き受けない」という人もいれば、「ギャラ交渉は基本的にはしない。クライアントから提示された金額でやる」という人もいます。

どちらが正しいというわけではなく、それぞれのスタンスにメリット・デメリットがあると思いますが、私の意見としては「ギャラ交渉はしない」「安い金額ではやらない」というのは、どちらも極端なスタンスです。私はこの2つのスタンスの中庸を取るようなスタンスでいます。

いつもギャラ交渉していると「金にうるさいやつ」と思われる

フリーランスだと売上が生活に直結するので、一つひとつの仕事でできるだけ多くのギャラをもらいたいのは事実。しかし、提示された金額に対してしょっちゅう「もっとください」的なことを言っていたのでは、「金にうるさいやつ」というレッテルを貼られることは間違いありません。

これは日本人の特性だと思うのですが、金でもめることを特に嫌がります。“もめる”というほどでなくても、「金の交渉」はかなり面倒だと感じる人が多いのです。それなのに、仕事の依頼をする度に「もっともらえませんか?」と交渉してくる人がいたら、だんだんその人に仕事を依頼するのが嫌になってきますよね。

なので、全ての仕事に対して「できるだけギャラを上げよう」とするスタンスはおすすめできません。

小さな案件ではギャラ交渉しない/大きな案件でこそギャラ交渉をする

私の場合は、例えば「3万円で」と依頼されるような小さな案件であればギャラ交渉はしません。見積もりを出すように言われても、「3〜5万円くらいだな」と思えば3万円で出します。

逆に大きめの仕事だったら、「ギャラを少し上げてくれ」とお願いすることが結構あります。例えば、「50万円くらいで」と言われた「55万円にしてもらえますか?」と交渉します。

小さめの仕事は、相手の言い値や「お得感のある見積もり」でどんどんやってしまえばいいと思っています。そうすることで、「あの人は価格のわりにクオリティの高い仕事をする」と印象づけることができます。

逆に予算感が大きい仕事は、ギャラを少し上げてもらったところで全体の予算感からすれば大したことのないように思えます。3万円と言われた仕事を5万円にあげてもらうには、1.7倍くらいにギャラを増やしてもらうことになりますが、50万の仕事を55万円にしてもらうのは、わずか1.1倍にしてもらうだけです。

しかも、3万の仕事を5万円にしてもらっても2万円の上積みしかありませんが、50万円を55万円にしてもれば5万円の上積みがあります。2.5倍です。

細々とした案件は言い値でやってしまい、大きな案件のときだけチャンスがあれば増やしてもらう。これが私のギャラ交渉術です。

打診があった段階で必ずギャラの確認 or 見積もりの提示をする

気をつけたいのが、案件に取り掛かる際に必ずギャラは決めておくことです。きちんと決めなくても、「だいたい10万くらいで」とか予算感ははっきりさせておきましょう。

今だに仕事をオファーするにあたってギャラを提示しない人たちがいますが、そういう人には「いくらくらいですか?」とはっきり聞きましょう。仕事を終えてからもめるのはバカらしいですし、最後にもめると次のオファーが来なくなります。

どうせもめるなら最初にもめておいて、最後は気分よく終わったほうが次の仕事にもつながります。提示された金額が「ありえないほど安いギャラ」だったらお断りしてもいいと思います。

最初に「予算はどれくらいですか?」とさらっと聞くようにしましょう。最初はお金の話をするのに気後れするかもしれませんが、フリーランスで2〜3年やっていれば「打ち合わせはいつですか?」と同じような感覚で軽い感じで聞けるようになります。

「日本人はお金でもめるのが嫌い」と書きましたが、別にお金の話をすることに気後れする必要はまったくありません。むしろ、その案件を終えた後にギャラの話をするようだと、自分が予想していた金額感とかけ離れていた場合、「え、それだけしかもらえないの?」と文句を言いたくなってもめることになります。

「できるだけ安く使おう」とする会社(人)からはフェイドアウトする

ギリギリまで値切って仕事を依頼しようとする人がいます。予算が十分にあっても、下請けに発注するお金は1円でも節約したいという人です。

そういう人からは波風立てずにフェイドアウトするようにしましょう。お付き合いしていても疲弊していくだけです。値切り魔の人は「俺(私)が仕事を依頼してやってるんだ」とフリーランスを見下しがちで、仕事のオリエンも適当なので、ギャラは安いのに仕事は大変という地獄を見ることが多々あります。

「ちょっと忙しくて…」とか「お引き受けしたいんですけど予算感が合わず…」と言って、何回か仕事を断っていれば、いずれ声をかけてこなくなります。どんな嫌な思いをさせられた相手でも、「お前とは仕事したくない」などと暴言は吐かないようにしましょう。狭い業界ですから、あまり不穏な決別の仕方をしないほうが自分のためです。嫌な奴のせいで自分に悪い噂が立つのは損なので、穏便な別れ方をしましょう。


というように、私がフリーランスになってから実践してきたギャラ関連の話をしてみました。「お金に関するスタンス」というのは人それぞれで、いろんなやり方がありますが、お金のせいで仕事仲間から嫌われてしまったり、逆に自分が疲弊しすぎてしまわないように、程よい塩梅でやっていきましょう。