フリーランスって実際どうなの?

フリーランスとして独立すること、働くこと、生きることについて。

フリーランスとして独立するタイミングはいつ?

フリーランスとして独立したいけど、ふんぎりがつかない。そんな人も多いと思います。

フリーランスとして独立するなら、「十分なスキルや人脈を持ってからでないとダメ」と言う人がよくいます。しかし、「自分にはフリーとして生きていけるだけのスキルが十分にある」「自分には豊富な人脈がある。独立すれば仕事を依頼する人が必ずいる」と自信を持って言い切れる人は、とても少ないと思います。結果、多くの人が独立に踏み切れないのです。

スキルや人脈はフリーランスになってから

私を含め、周りのフリーランスの人を見ると、独立時に十分なスキルと人脈を持っていた人なんてほとんどいません。独立してからスキルを磨き、人脈を広げていく人が多いのです。

デザイナーにしろ、プログラマーにしろ、専門職は仕事がとても忙しいものです。会社に所属しているときは、毎日深夜まで仕事をしている。そうなると、社外の人脈を広げる時間なんてほとんどないはずです。

スキルについても、会社員時代にある程度活躍できるくらいでないと厳しいですが、会社で活躍していた人ほど独立してからも成功しているかと言われると、そうとは言い切れないものです。フリーランスになってからやる気を出し、責任感が芽生え、めきめきと力を付ける人もいます。

そんなわけで、「自分には十分なスキルと人脈がある」と自信たっぷりに独立する人なんて皆無に等しいと言えます。

みんなどんなタイミングで独立しているのか

フリーランスになるタイミングについては、2つのタイプがいます。

〈タイプ①〉成り行きで気付けばフリーランスになっていたタイプ

こういうケースは稀なように思われていますが、実は結構多いパターンです。私もこのタイプに含まれます。

私の場合は所属していた会社が潰れました。また、私の仲の良いフリーランスのデザイナーは、会社(の社長)が嫌でしょうがなくて、先のことを考えずに会社を辞めました。

どちらにしても、転職先を決めているわけでもないので、退職した日からやることがない。毎日ブラブラとしている。すると、声をかけてくれる人が現れるのです。会社員時代に一緒に仕事をしていた人などから、「暇なら仕事しない?」と依頼があり、その仕事をしているうちに別の人からも……といつの間にかフリーランスとして独立しているケースです。

このタイプで独立した人は、いい意味でも悪い意味でもガツガツしていないもの。「仕事ください!」と積極的に営業することもないし、「ギャラを少しでも釣り上げるぜ!」という金銭的欲求も少なめです。こういうタイプに好んで発注する人もいます。

〈タイプ②〉とにかくやる気だけでフリーランスになったタイプ

もうひとつのタイプは、客観的に見たら「今独立して大丈夫?」と思えるようなスキル&状況なのに、とにかくやる気がMAXになっているから独立するタイプ。

このタイプの人は、とにかく営業を一生懸命やります。なんとか仕事を獲得し、食いっぱぐれずに続けていけます。ガッツで生き残っているうちにスキルも向上し、フリーランスとして安定していくパターンです。

僕みたいなタイプからすると、この手のタイプの積極的に営業する姿勢は感心します。タイプ①の人たちが農耕民族型フリーランスだとすると、タイプ②の人々は狩猟型フリーランスと言えます。

独立するか悩んでいる人はどうすればいいか

悩んでいるなら、フリーランスとして独立してみればいいと思います。

リスクなんて本当に小さいもの。「フリーになって失敗したらどうしよう……」って悩む人も多いようですが、リスクなんてそんなにありません。

僕は今、フリーランスとして広告制作をしていますが、数年前から飲食店のオーナーもしています。飲食で独立する、つまり自分の店を持つというのは大きなリスクがあります。失敗したら何百万、ヘタしたら何千万も借金を背負う可能性があるからです。

専門職の人がフリーとして独立して、仮に失敗したとしても、1年後に何百万も借金を抱えてるなんてことは普通ありえません。悪くても貯金口座の残高がゼロになっているくらいです。

不安なら、せっせとお金を貯めてから独立すればいいと思います。1~2年くらい生活を切り詰めれば、1年間無収入でも生活できるくらいの蓄えはできるはずです。

フリーランスになって上手くいかなくても、またどこかの会社に就職すればいいでしょう。「あいつは独立して失敗した」と笑う人もいるかもしれませんが、そんなのは無視すればいいだけのことです。失敗したら恥ずかしいなんていう気持ちは持たないようにしましょう。

フリーランスで働くと、やりがいや喜びがある

実際にフリーランスとして働いていくのは、どんな感じなのか?

僕の実感としては、会社員時代よりもフリーになってからのほうがやりがいも責任感も格段に大きいです。

収入が不安定で、1年後自分に仕事があるという保証もない。でも、フリーになって数年も経てば、ほとんど不安なんて感じなくなります。それがいいことかどうかはわかりませんが、そういうものです。

基本的に、フリーランスになると自分のことを高く評価してくれている人からしか仕事がきません。つまり、一緒にチームを組んで仕事をするのは、みんな自分のことを認めてくれている人です。そういう環境で仕事をしていくのはやっぱり楽しいものです。

嫌な仕事、嫌いな人からの仕事は断ることもできます。1ヶ月後に古本屋を副業で開業することだってできる。そういう自由がフリーランスにはあります。

会社員時代、僕はかなり鬱屈していました。いつも気分は晴れませんでした。会社から時間的に縛られ、その会社ならではの価値観を押し付けられるという状況に対するストレスを抱えていました。

もちろん、フリーになってからも嫌なことはあります。守ってくれる上司もいません。それでも、会社員時代よりも仕事へのモチベーションは高く保てています。仕事へのモチベーションは、その人が置かれている環境にも大きく影響を受けます。会社で働いていて仕事が楽しくない人も、フリーになったらやる気が溢れてしょうがなくなる可能性だってあります。

独立しないリスクは大きい

今の会社で、50代になっても働いている自分が想像できますか? 想像できて、そのイメージの中の自分が幸せそうなら、独立する必要なんてないと思います。

でも、想像できない、もしくは不幸せそうな自分しか想像できないという人も多いはず。会社員として忠実に働いてきたのに、窓際扱いになってロクに仕事を振られず、なんだか居心地が悪そうにしている人を、僕は会社員時代に何人も見てきました。

ある程度の年齢になると、専門職であっても「自分で仕事をつくっていく力」「プロデュースしていく力」が必要になります。そうした力がないと、使い勝手のいい若手のほうが重宝されます。

こうした力は社員として仕事をしているだけだと、なかなか身につかないもの。社員は会社に与えられた仕事をすることが多いので、どうしても仕事に対して受け身になります。そして、新規顧客を開拓したり、自らいろいろと仕掛けていく自由がない会社もあります。

一方でフリーになると、どんなプロジェクトに参加するのも自由だし、別事業を立ち上げたりもできます。僕はプランニングができるので、NPOを立ち上げる話など、本当にいろいろな誘いがきます。そういうものに参加していると、「新しい事業ってこういう感じで立ち上げるんだな」というのが肌感覚でわかってきます。

おじさん、おばさんになっても活躍できる人は、新しいビジネスをつくれる人です。新しいビジネスをつくるのって、専門職の人は苦手なことが多いですよね。せいぜい積極的にクライアントに自主提案するくらいです。

それでは、これからの時代を楽しく生き抜けないと私は思っています。だから、ビジネスをプロデュースする力を磨こうと努力しています。フリーランスでなら、その力を磨くチャンスがたくさんあります。

それでも独立できないなら

独立したいんだけど、どうしてもできない。どうしても不安になったり、家族の反対があってできない。

そういう人もいると思います。それなら、もう、「フリーランスになりたいなー」とか「フリーランスになったら楽しいのかな?」とか一切考えないほうがいいと思います。

フリーランスで仕事をしていくにも、もちろんデメリットはあるし、会社員として生きていくほうが幸せな人もいます。たまたま私は、フリーランスのほうが性に合っていただけかもしれません。

フリーランスとして生きる人にも、いろいろな生き方があるように、「会社員」「サラリーマン」といっても本当にいろいろな働き方、生き方があります。ストレスで鬱になっている人もいれば、自由に毎日超楽しくやっている人もいます。会社員として楽しく生きられる人生や、達成感のある人生を目指せばいいのではないでしょうか。